仕事用デスクトップPCにグラボを増設する|初心者でも分かる、買う前の5つの確認
仕事用デスクトップPCにグラボを増設する|初心者でも分かる、買う前の5つの確認
在宅ワーク用に買った、ごく普通のデスクトップPC。
Steamのセールで神ゲーを手に入れても、動くのは紙芝居です。
かといって新品のゲーミングPCは、いま値段が中古車の域に入りました。
そこで現実的なのが、今持っているPCに「グラボ」を1枚追加するという方法です。
数万円と週末の半日で、ゲームが動くPCに変わります。
ただし、ひとつだけ先にお伝えすることがあります。
PCによっては、そもそも取り付けが不可能な場合があります。
メーカーが組み立てた完成品PCは、部品が特殊な形になっていることがあるからです。
だからこの記事では、パーツを買う前に確認する5項目を最初に置きました。
ここを飛ばして注文すると、届いた箱の前で立ち尽くすことになります。
そもそも「グラボ」とは何をするものか
グラボとは「グラフィックボード」の略です。
映像を描くことだけを専門にする、大きな板状の部品だと思ってください。
普通のPCにも映像を出す機能はありますが、それはCPU(PCの頭脳)のおまけ機能です。
メールや表計算なら、おまけ機能で十分に足ります。
ですが3Dゲームは、1秒間に何十回も画面全体を描き直します。
この作業はおまけ機能では追いつかず、専門の部品が必要になります。
だからグラボを1枚足すだけで、動かなかったゲームが動くようになるわけです。
先に、専門用語をかんたんに
この記事に出てくる言葉を、先にまとめておきます。
暗記する必要はありません。分からなくなったらここに戻ってきてください。
| 言葉 | かんたんに言うと |
|---|---|
| グラボ | 映像を描く専門の部品。今回追加するもの |
| マザーボード | PCの中で一番大きい基板。全部品がつながる土台 |
| PCIe x16スロット | マザーボードにある、グラボを挿す差込口 |
| 電源ユニット | コンセントの電気をPC用に変換する箱 |
| 補助電源 | グラボに直接電気を送るための追加ケーブル |
| VRAM | グラボ専用のメモリ。多いほど余裕がある |
| W(ワット) | 電気を使う量。電源の容量もこの単位 |
買う前に確認する5項目

グラボ増設で失敗する人のほとんどは、買ってから確認しています。
順番を逆にするだけで、失敗はほぼ防げます。
用意するものは、プラスドライバー1本とスマホだけです。
PCの電源を切り、コンセントを抜いてから、横のフタを開けてください。
① グラボを挿す差込口はあるか
マザーボードを見ると、横に細長い差込口が並んでいます。
その中でいちばん長いものが、グラボを挿す場所です。
なければ、残念ですが増設はできません。
② 背面のフタが2枚分あいているか
PCの背面には、細長いフタがネジで留まっています。
グラボは分厚いので、このフタ2枚分の高さを使います。
1枚分しかあいていない場合は、薄型(ロープロファイル)と書かれたグラボを選んでください。
③ グラボを置く場所の長さは足りるか
差込口から、ケースの前側の壁までをメジャーで測ってください。
その長さより短いグラボを選べば入ります。
小型のケースなら、全長200mm前後のモデルを選ぶのが安全です。
④ 電源の箱は、市販品と交換できる形か
ここがいちばん大事です。
電源ユニットの側面には、シールが貼ってあります。
そこに「ATX」と書かれていれば、市販品と交換できます。
「TFX」「SFX」やメーカー独自の型番だと、市販の電源が入りません。
⑤ マザーボードにつながる太いケーブルの形
電源から出ているいちばん太いケーブルを見てください。
先端の四角い差込口の穴を数えて、24個あれば標準です。
数が違ったり、明らかに形が特殊だったりする場合は、電源交換ができません。
④と⑤で引っかかった場合、この改造は成立しません。
無理に進めると部品を壊すので、そのときは素直に完成品のゲーミングPCを検討してください。

あの……確認の順番としては、どこから見たほうがいいのでしょうか。
先にグラボを決めてしまうと、あとで戻れなくなりそうで……。

ひびの助さんの慎重さは、この作業ではとても正しく働きます。
順番としては、④と⑤の電源まわりを先に見てください。
グラボは後から選び直せますが、電源が特殊な形だった場合は改造そのものが成立しないからです。
つまりこの2つは、他のすべてを無駄にしないための最初の関門なんです。
ここを通過してから、はじめてグラボの型番を考えれば十分ですよ。
おすすめのグラボ:RX 9060 XT
いろいろな製品がありますが、いま増設するなら「RX 9060 XT」がバランスの良い選択です。
スペック表を、意味つきで並べます。
| 項目 | 内容 | どういうことか |
|---|---|---|
| VRAM | 8GB または 16GB | 多いほど、重いゲームに余裕が出ます |
| 消費電力の目安 | 約160W | 電球3個分ほど。特別大食いではありません |
| 補助電源 | 8ピン ×1本 | 太めのケーブルを1本つなぐだけ |
| メーカー推奨の電源 | 最低450W | これ以上の電源があればOK |
性能としては、フルHD(1920×1080)で遊ぶには十分な余裕があります。
ApexやVALORANTのような対戦ゲームなら、なめらかに動きます。
8GBと16GB、どちらを選ぶか
中身の性能は同じで、VRAMの量だけが違う2種類があります。
フルHDだけで遊ぶと決まっているなら8GBでも足ります。
迷っているなら16GBをおすすめします。
理由はシンプルで、あとから増やせないからです。
グラボごと買い替えることはできても、VRAMだけを足すことはできません。
正直、この差額で数年先の不安が消えるなら安いと思います。
電源の話(誤解がとても多い部分です)
「9060 XTは電気を大量に使うから、大きな電源が必須」と書かれた記事を見かけます。
実際には、そこまで電気を使いません。
メーカーが公表している最低推奨は450Wで、つなぐケーブルは8ピン1本だけです。
実際の測定でも、ゲーム中は140〜160W前後に収まる報告が多くなっています。
では何Wを買えばいいのか
550Wから650Wを選んでおけば十分です。
450Wでも動く構成は多いのですが、少し余裕を持たせる理由が2つあります。
ひとつは、電源は容量の半分くらいで使うときに最も効率よく動くためです。
もうひとつは、もとから付いている電源が古い場合、表示どおりの力が出ないことがあるためです。
1000Wは要りません。大きくしても効率が落ちるだけです。
それより優先してほしいのは、保証年数と「80 PLUS」の表示です。
80 PLUSは、電気の変換効率が一定以上あることを示すマークです。
信頼できるメーカーの保証付きを選んでください。ここは値段で妥協しないほうがいい部分です。

なるほど、思っていたより電気を食わないんだな。
なら、今ついてる300Wのままで行けるか?

デイビットさん、そこは止めておいてください。
300WではCPUなど他の部品と合わせた合計に余裕がなく、ゲーム中に電気が足りなくなります。
それ以前に、仕事用PCの電源にはグラボにつなぐ8ピンのケーブルが最初から付いていないことがほとんどです。
つまり容量以前に、線が刺さりません。
電源の交換は、避けて通れない作業だとお考えください。
完成品PC特有の、つまずきポイント
自作PCの解説記事をそのまま真似すると、ここで引っかかります。
電源の箱の形が特殊なことがあります。
自作用の電源は大きさが統一されていますが、薄型のPCは形が違います。
サイズが合わないと、ネジ穴の位置も合いません。
ケーブルの差込口の形が違うことがあります。
形が合わないものを無理に挿すと、部品が壊れます。
入らなければ絶対に挿さない、これだけは守ってください。
中が熱くなりやすいです。
仕事用のケースは、もともとファンが少なく作られています。
グラボを入れると内部の温度が上がるので、ケースファンの追加も検討してください。
CPUが古いと、グラボの力を出しきれないことがあります。
ただ、20fpsが60fpsや100fpsになるなら、体感の違いは十分に大きいです。
そこまで気にしなくて大丈夫です。
取り付けの手順

私は以前、同じように仕事用のASUS機を開けて、グラボを載せました。
そのときの流れを、順番に書きます。
準備するもの:プラスドライバー1本、スマホ、できれば軍手。
0. 電源を切り、コンセントを抜きます。
これは必ず守ってください。通電したまま触るのは危険です。
1. フタを開けて、写真を撮ります。
ケーブルを抜く前に、親の仇のように撮ってください。
ボケた写真でも構いません。それが戻すときの唯一の頼りになります。
2. ホコリを掃除します。
長く使ったPCの内部は、想像以上にたまっています。ここで一度きれいにしておきます。
3. 古い電源を外し、新しい電源に取り替えます。
太いケーブルを抜く瞬間は、正直に言って手が震えます。
ただ、差込口には必ず小さなツメが付いています。
そこを指で押しながら、まっすぐ引けば抜けます。
力任せに引っ張らないでください。
4. グラボを差込口に挿します。
差込口の端にある留め具を確認し、カチッと音がするまでまっすぐ押し込みます。
そのあと、補助電源の8ピンケーブルを挿します。
この挿し忘れが、初心者に一番多い失敗です。
5. フタを閉じて、電源を入れます。
起動したら、グラボメーカーのサイトからドライバー(動かすためのソフト)を入れて完了です。
もし画面が映らないときは、モニターのケーブルを挿す場所を確認してください。
グラボを付けたら、モニターはグラボ側の差込口につなぎます。
これまでどおりPC本体の差込口に挿していると、映りません。
これも定番のつまずきポイントです。
電源ボタンを押す瞬間は、ワクワクというより祈りに近い感情になります。
私はそのとき、なぜか背筋を伸ばして真っ暗な画面を凝視していました。
ロゴが出た瞬間の安堵は、なかなか他では味わえません。


写真を撮るの、なんだか大げさな気もするけど……。
でも、戻すときに困るのって、抜いた本人ですもんね。

くるみさんのおっしゃるとおりです。
作業中は覚えているつもりでも、1時間も経てば記憶は曖昧になります。
とくにPCの中のケーブルは似た形のものが多く、どこに戻すか判断できなくなりがちです。
撮影は数十秒で終わりますが、撮らなかった場合の復旧には数時間かかることもあります。
面倒に感じる作業ほど、先にやっておく価値がありますよ。
自分でやるか、完成品を買うか
COMPATIBILITY CHECK
グラボを自分で付けられるか、診断します
前半はPCの状態確認、後半はあなたの状況です。分からない項目は「わからない」で構いません。

よくある質問
Q. グラボを付けたのに画面が映りません。
モニターのケーブルが、グラボ側の差込口に挿さっているか確認してください。
PC本体側に挿したままだと、グラボを通らない映像を見ていることになります。
Q. 補助電源のケーブルがありません。変換ケーブルで代用できますか。
おすすめしません。無理に電気を取ると、発熱や動作不良の原因になります。
8ピンのケーブルが付いている電源に交換してください。
Q. 静電気は気にしたほうがいいですか。
作業前に、金属のドアノブなどに触れて放電しておけば十分です。
心配なら、金属部分を触ってから作業を始めてください。
Q. 中古のグラボはどうですか。
安いのは魅力ですが、保証がなく、どう使われていたか分かりません。
はじめての1枚なら新品をおすすめします。
まとめ
仕事用PCへのグラボ増設は、うまくいけば費用対効果がとても高い方法です。
そして成功するかどうかは、作業の腕前ではなく、事前の確認で決まります。
グラボを挿す差込口はあるか。
背面のフタは2枚分あいているか。
グラボを置く長さは足りるか。
電源の箱は市販品と交換できる形か。
太いケーブルの差込口は24個か。
この5つを確認してから注文すれば、大きな失敗はまず起きません。
まずはドライバーを1本用意して、フタを開けるところから始めてみてください。なたを待っています。
